2024年01月09日更新
なぜ,数学ができるようにならないか?それはもしかしたら,やり方が間違っているせいかもしれません.
最近の高校生や学生を見ていて思うのは,「問題を解くのが数学」,「数学の力は問題を解けばつく」と思っている人が非常に多いことです. 確かに,「問題をまったく解かなければ力がつかない」は真ですが,その裏の「問題を解きさえすれば力がつく」は偽です.あくまで,問題を解くのは,「基礎を固めるため,公式を理解するため」で,「解いて解きっぱなし」では,意味がありません.余計できなくなります. 実際,大学では高校と逆で,問題を授業中に解く事はほとんどありません.取り上げられる問題も,定理の理解を深めるためのものです.
話を変えて,「日本史」の勉強を考えて見ましょう.歴史の勉強をするのに 問題集ばかり解いている人 がどこにいるでしょうか? 普通の人は教科書を何回も読むでしょう. さらに興味のある人は,「新撰組」とか「織田信長」とかの歴史小説を読むでしょう.そして知らず知らずのうちに,時代の感覚がつくでしょう.それは,人間は 「イメージ」で考えるからです.個々のばらばらになった知識はすぐ忘れてしまいます.10年ぶりにあったクラスメートの顔は覚えていても,名前は出てこないようなものです.問題集ばかりやっていると,このもっとも大切な「全体像」がつかめません.頭のなかはぐしゃぐしゃ になってしまいます. しかし,確かに 問題集もやらないと 正確な年号は 覚える気にはならないのも事実です.結局,車の両輪のようなもので,どちらも大切なものです.
しかしなぜか,数学では,ほとんどの人は,教科書を全く読みません.数学小説?も読みません. それは,数学の本は,ちょっときどって書いてあって,独特のスタイルがあり,歴史の教科書以上に無味乾燥だからと思います. そこで,何とか 歴史小説のように読みやすい「数学の副読本」のようなものを書けないか? と思って ,書いてみることにしました.本当は教科書を書いている先生方も面白い本を書きたいと思われているに違いありません. しかし,文部省の指導で,厚さも書く内容も厳しく指導されていては,そんなことは不可能です. しかし,インターネットの特長を生かして,何とか面白い副読本にしたいと思っています.(力の及ぶ限りですが...)
個人的なことになりますが, 私も以前は,「問題を解かせ,公式を理解させれば良い」と思っていました.しかし,最近は「公式の丸暗記」で済ます人が本当に多くなってきて,私が教室で「公式の説明」を始めると,全く聞きもしない生徒が増えてきました.一時は,生徒に迎合して問題の解き方ばかり教えたこともあります.(そのほうがずいぶん楽ですし...)
しかし,それは数学嫌い(と数学に対する誤解)を増やし,しかも難関大の入試には通用せず,仮に,大学入試に受かったとしても,大学での勉強には,何の役にも立たない数学になってしまい,日本の将来さえ危うくします.「それでも良い.大学に受かりさえすれば,大学でどんなに困ろうと問題ない.日本が技術立国である必要もない」と言うなら話は別ですが,私は「公式をちゃんと理解することこそ,力をつける王道であって,逆に丸暗記は所詮「一夜漬け」で,センター試験レベルまでしか通用しないと思っています.
例えば,重心のベクトルの公式を説明するときは,生徒は大体聞いていません.その代わり,重心の証明と同様にして解ける練習問題なら,やり方を聞きます.「だったら同じじゃないか.結局,やり方を問題で身につけるのだから-」と思うかもしれませんが,先の歴史の話で言った様に,「同じことなら問題練習でなく,定理の証明(本文)でやった方が良いのです.さもないと「統一性,ストーリー性」がなくなり「頭の中はぐじゃぐじゃ」になってしまいます.頭の中が「ぐじゃぐじゃ」になることは,何よりも避けないといけません.イメージが大切です.(ですから,私は英語の勉強でも単語ばかり暗記するのは大反対です.イメージが無いからです.現に私は高3の夏に「試験に出る英単語」を全て覚えて,英語の偏差値を20も下げました!!
これは本当です.) 高校数学で一番大切なことは,何よりも「数学的イメージを持つ力」だと思っています.「公式やパターンを雑学のように覚えること」では決してありません.(大体,我々教師も覚えていません.その場で導いているだけです.)もっと卑近な例で言えば,ベクトルの問題なら「単なる計算」でなく「矢印を頭に描く力」です.このような「イメージを持つ力」をつければ,問題を解くことは難しくありません.
本当の応用力が付きます.
とりあえずは,次の5つだけです.
禁無断転載. All rights reserved. | Top pageへ |
高校や予備校の先生方が,ページ単位で コピーして個人的に教室内で授業で使ってくださるのは 構いません.しかし,さらに大きな範囲で大量にコピー,配布する場合は 一部ページだけの配布は避けてください. |