なぜ私はMuPADの解説を書いたか?

私は以前, MapleV-student version というソフトを 使っていました。これは本当に良いソフトで気に入っていました。 ところが,別れの日は急にやってきました。 11月のある日,私のパソコンを 苦労して WindowsXPに変えると,MapleXは私の元から去っていったのです。 いや,画面には立ち上がっていますが,何も入力できなかったのです。 ”見ているだけの恋”というのはつらい。私はやむなく Maple をヴァージョンアップすることにしました。 ところが,以前は紀伊国屋で売っていた学生版(1万5千円ほど) はなくなり,WindowsXP対応のMaple7は,なんと18万1千円!!! (Webでかうと 特価! 16万2900円)となっていたのです。 (今 考えるとこれはまだ安かった。最新版のMaple9は 24万1000円! もします。 このままいくと、Maple10はおそらく30万の大台に乗るでしょう。) 一体誰が買えるのか? プロでもなければ,または会社で買うのでなければ使うなといわんばかりの この値段設定にはもうあきれるしかありません。メモリー制限 ,機能制限があってもいいから,もっと安くしてほしかった。 本当に。 本当に。本当に。本当に。本当に〜  いづれにせよ,Maple が高嶺の花になり,WindowsXPで動く版が 手に入らないと解り,しかたなくハードディスクをもう一つ買いに走り ,そこにWindowsMeをインストールしました。そこでやっと再会できた Maple ですが,無条件に喜べるものではありませんでした。 Windows がXP→YP→ZP と限りなくグレードアップして行っても,いつまでも WindowsMe の亡霊を引きずっていなくてはいけないわけです。 また普段の私のソフトは Maple 以外は全て WindowsXP 対応になっており,Maple を使おうとする度に 再起動をかけ,bios から切り替えるのはちょっと大変でした。

そんな折,珍しくMapleの情報を探して Webを閲覧していると,「MuPADというソフトがあり,しかもそれは,ただ らしい」という情報を発見しました。そこで今度は 「MuPAD」で検索すると,ありました。いくつかのサイトが。。。 今はどのサイトであったか忘れましたが,いずれにせよ www.mupad.de にたどり着き,ダウンロードしてインストールしました。 しかし,この時点(12月初旬)では,まだ日本語の本が一冊もなく インストールはしたものの,面倒くさくて放っていました。 しかし年も開け,1月の半ばになると暇になり, ふとMuPADを立ち上げて diff(sin(x),x)かなんか を打ち込んだところ,答えが cos(x) と返ってきて 驚きました。なぜって,diff というのは maple の「微分せよ」 というコマンドだったのです。つぎは int(sin(x),x)とやると ちゃんとまた -cos(x)と返ってくるではありませんか! Maple でも積分は int と打つのです。さらにsimplify まで動いたときは,本気でMuPADを使ってみようと思いました。 すぐ amazon で検索すると,今度は新しく出版されたばかりの 「はじめてのMuPAD-赤間世紀著,Springer社」にめぐり合いました。 早速,注文し,それが2〜3日で届くと いろいろ試してみました。ただ本がやや薄いので 余り詳しくなく,自分の特に知りたい点(グラフなど) が余り載っていなかったので,後は自分で調べるしかないな と思いました。こういうときにモチベーションを高めるのは 必要性を作り出すのが一番です。無謀にも 「高校生のためにMuPADの入門書を書く」という 目的を作り出し,いろいろ調べました。 このように,ちょっと大変な目標をつくると, やる気が出て,実力以上の気が発揮できます。 ( 以前 java をやりはじめたときも,習い始めて 1ヶ月もたっていないのに Java で「グラフをかけるツール」 を書いてやろうと思い立ち,1ヶ月以上の間 寝食を忘れて作りました。これは本当に役に立ちました。 これなしでは, テキストを10冊読んでも,プログラムは 書けるようにならなかったと思います。)

はじめは本当に最小限必要なことだけを書くつもりだったのですが, 書いているうちにだんだん嵌ってきて,どんどん詳しくなっていきました。 しかし,高校生の人にもわかるように,また,MuPAD で結果だけを出して満足しないようにと思って, 可能な限り証明や,途中の式も書きました。 高校生の皆さんは,是非両方を理解するように努力してください。 ま,一部自作の問題も入れたので,難しすぎるところもありますが そういうところは【参考】と書いてありますので, 参考程度に見ておいてください。とにかく,いま高校では 「1ページ目から順に,しかも完全に理解していく」 という勉強法をとっている人が多いと思いますが,それはそれでいいのですが ,そんな勉強ばかりやっていると,大学へ入ったら (よっぽど天才でもなければ)やっていけません。 「たくさん読んで自分の必要なところだけを吸収する」のも勉強です。(ま,そのためには自分のほうに興味や好奇心,目的が必要ですが,とにかく) 勉強することは余りに多く,時間は余りに少ないのです。だから,この小冊子は少し 厚いですが,自分に興味のあるところだけを, (解らないところがあれば逆引きしながら)読んでいってくれればいいなあ と思います。

最後になりましたが,私は専門家ではなく, MuPADを使い出して日も浅いのでいろいろ間違いもあると思います。 もし何か間違いがあったら連絡をいただけると幸いです。(2002年2月末記)


追記; この記事を書いて1年以上経ったころ、園部さんという方からmailをもらい, WindowsXPでMapleXを動かす方法を教えていただきました。 MapleのWebpage (ここ)に説明がありますが、Mapleのインストールディレクトリの "bin.wnt フォルダ"から "opengl32.dll"を削除するとうまく行きます。(でも私がmupadを使い出した 時には、このページは、まだなかったと思う。 ) いずれにせよ、私は今では Mapleと mupad を気分で使い分けています。でもそのために 現在では mupad に関する情熱はやや冷めてしまいました。やっぱり二股をかけるのは良くない?

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生越 茂樹 (Ogose Shigeki)
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