2014年06月04日更新

数学特別講座 (数学副読本)

-目で見る数学入門-


なぜ,数学ができるようにならないか?それはもしかしたら,やり方が間違っているせいかもしれません.

最近の高校生や学生を見ていて思うのは,「問題を解くのが数学」,「数学の力は問題を解けばつく」と思っている人が非常に多いことです. 確かに,「問題をまったく解かなければ力がつかない」はですが,その裏の「問題を解きさえすれば力がつく」はです.あくまで,問題を解くのは,「基礎を固めるため,公式を理解するため」で,「解いて解きっぱなし」では,意味がありません.余計できなくなります. 実際,大学では高校と逆で,問題を授業中に解く事はほとんどありません.取り上げられる問題も,定理の理解を深めるためのものです.

話を変えて,「日本史」の勉強を考えて見ましょう.歴史の勉強をするのに 問題集ばかり解いている人 がどこにいるでしょうか? 普通の人は教科書を何回も読むでしょう. さらに興味のある人は,「新撰組」とか「織田信長」とかの歴史小説を読むでしょう.そして知らず知らずのうちに,時代の感覚がつくでしょう.それは,人間は 「イメージ」で考えるからです.個々のばらばらになった知識はすぐ忘れてしまいます.10年ぶりにあったクラスメートの顔は覚えていても,名前は出てこないようなものです.問題集ばかりやっていると,このもっとも大切な「全体像」がつかめません.頭のなかはぐしゃぐしゃ になってしまいます. しかし,確かに 問題集もやらないと 正確な年号は 覚える気にはならないのも事実です.結局,車の両輪のようなもので,どちらも大切なものです.

しかしなぜか,数学では,ほとんどの人は,教科書を全く読みません.数学小説?も読みません. それは,数学の本は,ちょっときどって書いてあって,独特のスタイルがあり,歴史の教科書以上に無味乾燥だからと思います. そこで,何とか 歴史小説のように読みやすい「数学の副読本」のようなものを書けないか? と思って ,書いてみることにしました.本当は教科書を書いている先生方も面白い本を書きたいと思われているに違いありません. しかし,文部省の指導で,厚さも書く内容も厳しく指導されていては,そんなことは不可能です. しかし,インターネットの特長を生かして,何とか面白い副読本にしたいと思っています.(力の及ぶ限りですが...) 

個人的なことになりますが, 私も以前は,「問題を解かせ,公式を理解させれば良い」と思っていました.しかし,最近は「公式の丸暗記」で済ます人が本当に多くなってきて,私が教室で「公式の説明」を始めると,全く聞きもしない生徒が増えてきました.一時は,生徒に迎合して問題の解き方ばかり教えたこともあります.(そのほうがずいぶん楽ですし...) しかし,それは数学嫌い(と数学に対する誤解)を増やし,しかも難関大の入試には通用せず,仮に,大学入試に受かったとしても,大学での勉強には,何の役にも立たない数学になってしまい,日本の将来さえ危うくします.「それでも良い.大学に受かりさえすれば,大学でどんなに困ろうと問題ない.日本が技術立国である必要もない」と言うなら話は別ですが,私は「公式をちゃんと理解することこそ,力をつける王道であって,逆に丸暗記は所詮「一夜漬け」で,センター試験レベルまでしか通用しないと思っています. 例えば,重心のベクトルの公式を説明するときは,生徒は大体聞いていません.その代わり,重心の証明と同様にして解ける練習問題なら,やり方を聞きます.「だったら同じじゃないか.結局,やり方を問題で身につけるのだから-」と思うかもしれませんが,先の歴史の話で言った様に,「同じことなら問題練習でなく,定理の証明(本文)でやった方が良いのです.さもないと「統一性,ストーリー性」がなくなり「頭の中はぐじゃぐじゃ」になってしまいます.頭の中が「ぐじゃぐじゃ」になることは,何よりも避けないといけませんイメージが大切です.(ですから,私は英語の勉強でも単語ばかり暗記するのは大反対です.イメージが無いからです.現に私は高3の夏に「試験に出る英単語」を全て覚えて,英語の偏差値を20も下げました!! これは本当です.) 高校数学で一番大切なことは,何よりも「数学的イメージを持つ力」だと思っています.「公式やパターンを雑学のように覚えること」では決してありません.(大体,我々教師も覚えていません.その場で導いているだけです.)もっと卑近な例で言えば,ベクトルの問題なら「単なる計算」でなく「矢印を頭に描く力」です.このような「イメージを持つ力」をつければ,問題を解くことは難しくありません. 本当の応用力が付きます.

とりあえずは,次の5つだけです.

目で見る行列と1次変換
- 私の出講している予備校で特別授業として 3時間でやったものです.誰でも知っていないといけない基本概念を詳しくたくさんの図を使って説明した本です.授業のときは,私の作った 1次変換のソフト(マフィン君) を併用しながら,1次変換のイメージを掴んでもらいました. 合わせて使うと誰でも基本概念がつかめると思います.実際 授業後には「イメージがつかめて良かった」という声が多かったのですが, なかには「イメージはつかめたけど,実際の問題にはどう応用していいか解らない」という声もありました. それは まるで「武田信玄 の本を読んでも歴史の点数は上がらない.よって,そんな本は読んでも仕方がない.」と言っているようなものです. しかし,イメージさえつかめれば,そして数学に興味を持ってもらえれば,問題を解くコツは 比較的簡単に頭に入ります. そのための問題集は星の数ほどあるので,自分でやってください.
目で見る積分」(200p)
- これも基本概念を非常に詳しく解説した本です.授業では説明したくてもできなかったことをじっくり説明しました.《「細かく切って集める」から「積分」という》ことを知らない人が多すぎます.しかしこれを理解すると,《置換積分やパラメータ積分が「当たり前」のように見える.》 そのことを伝えたかったのです. この部分は 初心者の方にも読んでもらいたい部分です.後半は 普通の参考書には無い「立体の回転体」や「立体図形の求積問題」についても詳しく説明しました.この部分は東大や東工大などの難関大志望の人にはとても役立つと思います.なお この本には 入試問題やオリジナル問題も沢山 (60問位)入れました. 半分ぐらいはオリジナル問題ですが,「問題のための問題」ではなく「理論の理解のための問題」にしたつもりです.なんと言っても大切なのは「イメージ」であり「理論」ですから... また この本は大学1年生で大学の数学と高校の数学の間のギャップに苦しんでいる人にも役立つと思います.高校で計算だけやっていると大学で本当に苦労します.その「橋渡し」や「補助輪」になることもできるでしょう.またこの本には 50以上の CG(コンピューター・グラフィックス)を載せています.
目で見る極限と微分の初歩」(60p)
- 私の出講している予備校で特別授業として3時間でやったものです.極限や微分の計算だけできても仕方ありません.もちろんそれは必要ですが,人間はロボットではないのでイメージが持てないと好きになれないし,本当に使いこなすことはできません.まず数列の極限を「暗算で」求めることから初めて,数列の和を面積と関連付けます.三角関数や指数・対数の極限公式もグラフと関連付けて理解します.最後は発展として2次・3次・・・の近似公式を「自然に」導きます.難しい近似公式が,とても自然に見えると思います.なお授業で使ったMuPADのファイル(mnbファイル)はここからダウンロードできます.zip圧縮してあります.
目で見てわかるベクトル
- 平面&空間ベクトルの和・差・実数倍,内積についての テキストとCG です.
目で見て分かる指数・対数関数
-指数関数,対数関数の「イメージ」を詳しく述べています.公式が「自然に」理解できます.
目で見て動かす2次曲線
−2次曲線と接線,離心率,円錐との関係などのテキストとCGです.動かして見ることができます.
その他
-現在のところ 円と放物線,円と双曲線 の2つだけです.動かして見ることができます.



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