連分数の2種類の図形表示 with Mathematica&GeoGebra

連分数は無理数を分数で近似するときにとても有効です.すなわち分母の小さい項で近似することが出来ます.しかもこれには色々な表示があります.ここでは 通常の入れ子分数表示,長方形表示,フォードの円を簡単に紹介します.紹介は不要という方は下のリンクからすぐアプリをダウンロード,あるいはサイトからご覧下さい.Mathematica と GeoGebra で作りました.どちらも無料で見ることが出来ます.詳しい説明はWeBでは「数学展望(糸 健太郎)」が,書籍では ブルーバックスの「数論入門」などがあります.ただ後者の方は図形的な表示はありません.一般的な整数論入門となっていて,沢山のトピックを取り上げています.

例えば 有理数 a=12/7 の連分数はテキスト表示では [1,1,2,2] です.「入れ子分数表示」と「長方形表示」は,次の様になります.GeoGebraのワークシートのスクリーンショットから取りました.(以下の図は全てスクリーンショット.) 連分数に直すには ユークリッドの互除法と同様に,割る数と割られる数を交互に変えながら,次々に割って作ります.ユークリッドの互除法はこちらをご覧下さい.

(互除法)

=[1,2,2,2,2,...](2がずーと続く)です.一般に2次の無理数(整数係数の2次方程式の解)の連分数は循環します.

第1〜第3項までの「入れ子分数表示」と「長方形表示」は次の様になります.第3項17/12=1.4166667...でもかなりに近いです.入れ子分数表示では「繰り返し」ですが,長方形表示では「自己相似」となります.即ち,一番下の左の長方形で,赤色と青色の長方形は相似です.これを見たいがために (Mathematicaで既に作ってあったにも関わらず) GeoGebra でも作成しました.GeoGebra では 拡大縮小が容易にできるので「マトルーシュカ人形」を目で見ることが出来ます.

有理数 p/q (p,q は互いに素な自然数) に関するフォードの円 C(p/q) は で定義されます.x軸と接し,分母が大きいと急速に半径は小さくなります.例えばC(3/7)とC(1/2)は接点のx座標は1/14しか変わりませんが, 半径は4:49(ほぼ1:12) です.フォードの円については「数学展望(糸 健太郎)」が非常に詳しくまた分かりやすいです.フォードの円には次の3つの基本性質があります.

2つの有理数q/pとs/rが |ps-qr|=1 を満たす時,これらの有理数は「隣り合う」と定義します.そして連分数の近似分数展開に置いて隣接2項は「隣り合い」ます. 例えばの近似分数展開は次の様になりますが,確かに隣接2項は「隣り合って」います. (注: 分母と分子の漸化式を作って証明します. 「数学的帰納法で証明せよ」とかのヒントをつければ,大学入試でも出題できるレベルです.)

例えば0/1以上1/1以下で分母が10以下の有理数(ファレ‐分数)に対するフォードの円は上図のようになります.分母が10より大きい分数もすべて並べると,上の円とx軸の間にどんどん接しながら入っていきます. そして,実数aの近似分数に対するフォードの円を順に作っていくと,それらの円は順に接しながら,その接点のx座標が a に近づいていきます.下の図は の近似分数展開のフォードの円です.4つ目の C(17/12) は小さくて見えづらいですが,GeoGebra の拡大機能を使うと よく見ることが出来ます.これは「マトルーシュカ」人形ではないですが,次々にA (,0) を囲むように(VIPをガードするかの様に)Aに近づいて行きます.基本定理(1)より,フォードの円は交わることがないので,このガードを破って他のフォードの円がAに近づくことは難しいです.これを使うと,最良近似定理とラグランジュの定理が簡単に証明されます.

例えば「最良近似定理」によると,分母が5以下の分数で に一番近い分数を α とすると, α=7/5 (7/5は第3次の近似分数) となります.なぜなら C(7/5)は上図の青い円です.そして αの分母は5以下なのでC(α)のサイズは C(7/5)以上です.しかも(,0) は図の黄色領域にあり,フォードの円は交わらないからこの黄色領域にC(α)は存在しません. よってα=7/5となります.少しだけ準備が必要ですが「ラグランジュの定理」も,やはり図形的に証明できます.詳しくは「数学展望」をお読み下さい.「数学展望」ではフォードの円に関して,もっともっと詳しく書いてあります.
  


上に上げた「入れ子分数表示」と「長方形表示」と「フォードの円」を「動的に」求めるワークシートを GeoGebra で作成しました.また「入れ子分数表示」と「長方形表示」を動的に求めるノートブックを Mathematica で作成しました.

Contents
1.GeoGebra のサイト 連分数の長方形表示
連分数とフォードの円
フォードの円とファレ‐数列
ユークリッドの互除法
2.Mathematica のサイト 連分数の長方形表示と入れ子分数表示
3.ggb file Download 連分数&フォードの円全て(zipped)
4.notebook(コマンドライン含む) Download 連分数の長方形表示と入れ子分数表示
 notebook(モバイル版) Download 同上(mobile用)
GeoGebra Download GeoGebra Download
Wolfram Player download wolfram player


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