参考文献

-2012年4月17日-
以下の本を参考にさせていただきました.ありがとうございます.

  1. 「非ユークリッド幾何の世界」 寺坂英孝著, 講談社
  2. 「複素数と非ユークリッド幾何」 梅沢敏夫著, 槙書店 [絶版]
  3. 「ユークリッド幾何から現代幾何へ」小林昭七著, 日本評論社
  4. 「双曲幾何」深谷賢治著, 岩波書店
  5. 「双曲幾何学への招待」谷口雅彦・奥村善英著,培風館
  6. 「ピタゴラスの定理でわかる相対性理論」見城尚志+佐野茂著,技術評論社
  7. 「Modern Geometry with Applications」George A.Jennings, Springer-Verlag
  8. 「幾何再入門」G.ジェニングス著,伊里正夫・伊里由美訳,岩波書店 [Gの翻訳,絶版]
  9. 「幾何学T,U」R.ハーツホーン著,難波 誠訳,Springer
  10. 「双曲幾何学入門」中岡 稔著, サイエンス社 (絶版)
  11. 「平行線論の幾何学的研究」ロバチェフスキー著,寺坂英孝訳
  12. 「空間論」ボリャイ著,寺坂英孝訳
    (以上2つは,  数学の歴史「幾何学T」 (絶版)に収録)
  13. 「射影平面の幾何学」郡 敏昭著
  14. 「シンデレラで学ぶ平面幾何」阿原一志著
  15. 「幾何学入門」コクセター著
  16. 「Projective geometry」Coxeter 著
  17. 「Janos Bolyai」Jeremy J.Gray著
  18. 「NonEuclidian Geometry」Robert Bonola著
  19. 「4次元の幾何学」中村義作著,ブルーバックス(絶版)
  20. 「高次元図形サイエンス」宮崎興二 編著, 石井源久・山口哲 共著
  21. 「4次元グラフィックス」宮崎興二,石原慶一 共著,朝倉書店(絶版)
  22. 「目で見る高次元の世界」バンチョフ著,永田雅宣・橋爪道彦訳, 東京化学同人(絶版)


A.「非ユークリッド幾何の世界」
一番最初に読んだ本です.思ったより簡単でしかもかなり厳密な証明も付いているので「非ユークリッド幾何はそんなに難しくないし,面白い」と興味を惹かれました.モデルは主に「半球面モデル」ですが,最後に「クラインモデル」の簡単な説明も載っています.歴史的な話もたくさん載っていて,しかも「ブルーバックス」シリーズなので財布にもやさしく,最初に読むにはとても良いと思います.そのせいか初版は1977年ですが,版を重ねて30刷となりました.
B.「複素数と非ユークリッド幾何」
次にはずーと前に買って「本箱の肥やし」となっていたこの本を読みました.第3章の「非ユークリッド幾何入門」の章が ポアンカレ平面の図形的な説明でとても分かりやすく,しかも 「平面」なので, CabriUで簡単に遊ぶことができ,さらに興味は膨らみました.ただこの本の第四章は私には少し難しすぎました(図も少ない).モデルは「ポアンカレ平面」と「ポアンカレ円盤」です.このあとC〜Eの三冊をほとんど同時に購入しました.
C. 「ユークリッド幾何から現代幾何へ」
この本で初めて「ユークリッド幾何」の(古典的)公理・定理系の概観を知りました.歴史的なことも,個人的な感想も適度に載っていて,第2章までは面白く読めます.第3章からは微分幾何の予備知識がないと難しいと思います.第2章では,双曲的直角三角形に対して「ピタゴラスの定理」を直接にポアンカレ平面上で計算で証明して,次に一般の三角形を二つの直角三角形に分割し 余弦・正弦定理を証明しています.「ピタゴラスの定理から余弦・正弦定理へ」という流れは,高校での余弦定理の証明の仕方と同じなので,高校生(一般の大学生にも) には分かりやすいと思います.モデルは最初に「ポアンカレ平面」を詳しく述べ,あとで簡単に「ポアンカレ円盤」,「クラインモデル」,「擬球モデル」について触れると言うスタイルです.「擬球モデル」は余り他の本に載っていなかったので助かりました.
D.「双曲幾何」
「ポアンカレ平面」と「ポアンカレ円盤」,ならびに「双曲面モデル」が載っています.この本は「双曲面モデル」がかなり詳しく載っています.さらに最後の章は「タイル張り」について初歩的なことがくわしく説明されています.「双曲幾何学への招待」のタイル張りの説明と合わせて読むと 「わかった気もち」になります.
E.「双曲幾何学への招待」
京都大での教養学部生向けの講義ノートが基になっていて「非常に綺麗に簡潔にまとまった本」です.本文が180ページの薄い本ながら,最後は「3次元双曲空間のタイル張り」まで述べています.しかも「主な証明つき」です.したがって説明は行間を読まないと良く分かりません.例えば「一次分数変換」の説明はたった4ページ,球面三角法の説明も3ページ,「双曲面モデル」の説明も1ページ・・・といった短さです.しかし驚くことにこれで全てを簡潔に証明しています.とにかくこの本は「骨格」だけの本です.歴史的なこと,余分なことはまったく載っていません.しかし証明の鮮やかさや説明の簡潔さは際立っているので,一読の価値はあります.喩えるなら「噛めば噛むほど味の出る本」でしょうか? 良く噛まないと良さは分からないと思います.モデルは最初が「ポアンカレ円盤」.次が「ポアンカレ平面」,「クラインモデル」,「半球面モデル」,「双曲面モデル」と続きます.
F.「ピタゴラスの定理でわかる相対性理論」
[A]と同じく一般の読者向けに書かれた本ですが,こちらは21世紀になってからの出版なので,数式や証明は非常に少ないです.球面三角法(ピタゴラスの定理)の証明は参考にさせていただきました.この本には球面三角法の正弦・余弦定理の図形的な証明も載っています.残念ながら双曲三角法の図形的説明は載っていません.(そもそもそれは,可能でしょうか?) 証明は少ないですが,いろいろな逸話が非常に豊富で,面白く気楽に読める本です.
G&H.「幾何再入門」(Modern Geometry with Applications)
双曲幾何の本というより,Modern Geometry(?)のトピックスを分かりやすく証明つきで書いた本です.内容は「ユークリッド幾何」,「球面幾何」,「2次曲線」,「射影幾何」,「相対性理論」で,「双曲幾何」は割愛されています. 「球面幾何」の章では,球面三角法の厳密な証明(初歩のベクトル解析を使う) が載っています.また球面余弦定理の2つの表現の同値性の説明を,「双対球面三角形」を使ってやっています.ここには図形的なイメージがあって面白いです.しかし,特にこの本で良かったのは「射影幾何」の章で,とても解かり易く,かつ初歩的で重要なことは,殆ど全て証明されています.(ただし「射影幾何の基本定理」の証明はない).特に,「複比」の章は「クラインモデル」を勉強する時にとても役立ちました.
I. 「幾何学T,U」
1,2章と7章しか読んでないですが,日本の本と違い,モデルでなく 「原論」のように「幾何学的」に説明している点が気に入りました.(個人的には 「面積」の節が一番面白かったです.) また練習問題も豊富でかつ面白い問題が多く 非常に役立ちました.解答がないのが玉に瑕です. 独学だと こういう点は困りますね.個人的な感じですが,著者は ロバチェフスキーより ボヤイの方が好きな気がします.ボヤイの本に入っている図を詳しく説明している部分がかなりあるのに対し ロバチェスキーの本からの抜粋は殆ど無いです. 
J.「双曲幾何学入門」
双曲面モデルを おそらく 日本で一番詳しく解説した本です.今では非常に手に入れずらいです.
K. 「平行線論の幾何学的研究」
寺坂先生の激賞をあびている本(論文)なのですが,やはりそれだけのことはありました.非常に図形的で,かつ 予備知識もほとんど必要なく,大学3年生ぐらいで読めるのではないでしょうか?証明はLに比べて緻密な気がします. 
L. 「空間論」
やはりとても幾何的で 面白いです.ただ記号が自己流で 慣れるまでは ちょっと 大変でした.空間内の円を使った証明が多いです.個人的には Kより好きです.
M.「射影平面の幾何学」
初めて本格的に読んだ射影幾何の本です.日本語ではこれ一冊しかないと思います.
N.「シンデレラで学ぶ平面幾何」阿原一志著
これを読んで シンデレラに私も一時嵌りました.残念ながら,シンデレラは ポアンカレ円盤モデルなので 殆ど使っていません.しかし直感的な説明が分かりやすく こういう本からも 幾何好きの人々が増えていくと思います.
O.「幾何学入門」
ちょっと前まで絶版でしたが,今は文庫本があります.名著ですが,かなり圧縮されていて証明も省略してあります.同じ著者の「Projective geometry」,[Non Euclidian Geometry」とあわせて読むと良いと思います.
P.「Projective geometry」
本当に久しぶりに英語で数学の本を一冊読みました.とても分かりやすい本です.この本を読んで射影座標が使えるようになりました.あまりに良かったので, coxeterの分厚い伝記まで読んでしまいました.
Q.「Janos Bolyai」
非ユークリッド幾何の歴史と概説 そしてBolyaiの伝記が載っています.一般向けの本ですが証明も所々載っています.Bolyaiの「Appendix」の英訳(by Halsted) も(解説なしで)載っています.
R.「NonEuclidian Geometry」
非ユークリッド幾何の歴史と概説が非常に詳しく載っています. BolyaiやLobachevskyだけでなく,サッケリーやRieman, Hilbertなどまで載っています.さらに,Grayの本に載っていて(Bolyaiの論文には載っていない)公式の証明まで載っています.と言う事は,おそらく,この本はGrayの本の種本です.なお「C]によると「付録」として,BolyaiやLobachevskyの論文の英訳も載っているはずですが,私の買ったCOSIMO CLASSICの物は「本文のみ」でした.amazonで見ると同名の本が何冊かあるので,購入の際は注意が必要です.名著だと思います.翻訳が欲しいです.
S.「4次元の幾何学」
「高次元図形サイエンス」と合わせて一番最初に読んだ4次元の幾何の本です.非常に分かりやすく「高次元図形サイエンス」に書かれていない数学的な説明が良かったです.
T.「高次元図形サイエンス」
一番最初に買った4次元の本です.CGに関しては詳しいですが,数学的な説明はありません.CGに関してもCGで描いた「結果」は圧倒的ですが,残念ながら4次元CGの基礎や「どの様にしてプログラムするか」ということは書かれていません.
U.「4次元グラフィックス」
20年も前の本なので,具体的なプログラム(BASIC!)はあまり参考になりませんが,4次元のCGの理論的基礎については参考になりました.
V.「目で見る高次元の世界」
高次元幾何学の専門家によって書かれた本ですが,分かりやすいです.ただCGについては載っていません.「より広い視点から書かれた一般向けの啓蒙書」という感じです.
 



by 生越 茂樹(Ogose Shigeki)